2014年8月18日月曜日

Unityとゲームジャムの構図

さて、先日、Unityのセミナーに参加しました


Unitiyはインストールを数年前にはしていましたが、まともに使っていませんでした。覚えなきゃなと思いつつ、まあ、やれば直ぐに覚えられるだろう、と勝手に思っていました。

そんな感じで、
全体的に、かなり今さら感のある話

だと思いますが、Unityやゲームジャムの事が新鮮である方には、少しは面白く感じられる話かと。

Unityのとは

先ず、Unityが何かということから。簡単にいうと、こんな感じです。
  • ゲーム開発を容易に出来るようにした開発環境ソフト
  • 3Dのゲーム開発環境では稀な無償提供版がある
  • iOS,Android,Windows,ゲーム機などのマルチプラットフォームのソフトが作れる
 上記のどれかを満たすものは以前から在りますが、どれも満たすものはこれまで在りませんでした。有料版も在りますが、最終的な出力の最適化が変わりますが、何が作れるかは大きく変わりません。無償で提供されていますから、誰でも使えます。触ってみたい人はどうぞ。

http://japan.unity3d.com/

これが画期的と思われている点は、上記の項目を満たすものがほほ、無かったからです。この「画期的」という目線が、立場によって変わります。
自分が率直に思ったのは、

Unity=(Flash+3D-タイムライン)×マルチプラットフォーム

っていう感覚、同感な方も結構、居ると思ってるんですけど、如何でしょうか?

「簡単に作れんじゃん!」、創りたい人から見たUnity

 Unityのウリは「3Dゲームが容易に作れる」、というところです。従来からあるツールでは、近いものにはFlashが在りますが、有料でマルチでなく2Dのみです、その裏返しになります。他にもフリーで使えるものが在りますが、3Dを扱えて無料のもので機能が豊富なものは、他には在りませんでした。そう考えると、簡単に3Dゲームが無料で作れちゃう!ということがフックになって、アマチュアやゲームに参入していない企業から魅力に映ったと思います。

「使わなくて済むよ」、既存開発者から見たUnity

他方、ゲーム開発をしている方々からの目線は違います。先ず、無料であることは重要では無くなります。販売するソフトに使う場合は、通常のデベロッパは様々な開発ツールでプロ版のライセンスを購入しなくてはなりません。この時考えるのは、費用対効果です。製品開発コスト全体を見た場合、無料であることは重要では無くなります。逆に、無料で手に入れても、デバッグで支障が出てしまうとそのコストが嵩んでしまうため、無料であることの意味は成さなくなります。LinuxのSIerでも在った話です。
また、Unityで再現される機能は、開発経験のある企業であれば自前のライブラリやツール群があるので、特にUnityを使わなければならない理由が在りません。用意されている部分のチューニングが要ると思われる部分が多々あります、海外製の物理的センスで動くところなどです。日本国内のものは演出の仕方が少し違います。

意識の差は「ゲーム」の認識の差

デベロッパがUnityに魅力を感じるとすれば、簡単なプロトタイピングが非プログラマでもし易い、という処でしょう。細かい作り込みは置いておいて、アルゴリズムの妥当性は確認出来そう、という使い方です。もちろん、最後までUnityで作ってしまおうという事も実際には行われていますし、ここは内容に依ると思います。物理演算等の動作自体に複雑性が無く、レベルデザインでゲームを拡張していけるものには向いています、それはスマホのカジュアルゲームによくある物です。
他方、Unityで「ゲームが簡単に作れる」ことをメリットとして見ている人達には、3Dでキャラクタが動いたり物理的な動きをしてくれることが「ゲームぽさ」になっています。デベロッパは、そこでとどまることはゲームと考えていません。そこの意識の差が、Unityの評価の差に表れています。

ゲームジャムではUnityのようなツールが適している

ゲームジャムで創られるソフトは、「ゲーム的なものを創る」ことが目的で、それによる開発費と売り上げを考えて制作することは目的になっていません。

ジャムで創られるものだけでは、お金にはなりにくいです。数日で制作できた、ということは、誰でも真似ができる可能性があり、誰かが「お金を出して手に入れたい」と思えるレベルには、容易に到達するのは難しいです。売ることを目的としていませんから当然といえます。

他方、プロダクトとしてのゲームは、一朝一夕で作り上げることは不可能な面白さにコストをかけることで差別化を図り、マネタイズに繋げています。ただ、デベロッパも多様なアイデアや迅速な開発を求める処もあるわけで、そこで少しジャムに近づきたい心持はありと思います。

売ることを目的としていない、誰でも製品未満のものを作り出すにはUnityが向いていて、それがゲームジャムなどで多く使われる理由になっていくだろう、と思いました。初対面同士での共通基盤になりうるには、フリーだし使いやすい、といことです。もちろん、moonblockなどのJavascript系でも構いませんし、色々あっていいと思います。

っていう、
全体的に、かなり今さら感のある話

だと思いますが、Unityやゲームジャムの事が新鮮である方には、少しは面白く感じられる話かと。